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「現代」の藍建てと「伝統的」な藍建て

藍はもともと水に溶けません。水に溶けないわけですから、草木染めのように煮だして色をとることが出来ません。

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そして、水に溶けない藍を水に溶かすことで染め液をつくることを藍を「建てる」といいます。藍を「建てる」ことで染め液をつくる方法は現在ではいくつもありますが、ざっくりと分類分けすると、伝統的な本来の建て方を「本建て」、化学的に染め液をつくる建て方を「化学建て」といいます。

「化学建て」と「本建て」

藍は酸化をすることで青く発色する性質を持つため染め液の中は無酸素状態です。また、灰汁(あく)で建てた染め液は強アルカリ性です。

だから理論上、無酸素状態の強アルカリ性の染め液をつくれば藍を水に溶かすことが出来ます。そこに目を付けたのが「化学建て」と呼ばれる方法です。

本来の「本建て」では、まず蒅(すくも)を醗酵させます。醗酵させることですくもの中に微生物がうまれます。

すくも

そして、灰からとった灰汁(あく)とまぜあわせることで微生物の働きを活発にすることでさらに醗酵させます。その過程で藍が水に溶けていきます。

藍染液

これを化学的に建てられるようにしたのが「化学建て」であり、つまり強アルカリ性の液体をつくるには苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、または石灰があればできます。

続いて無酸素状態にしなくてはならないわけですから、液体の中の酸素をとらなければなりません。そのために還元剤をつかいます。すると簡単に藍の染め液をつくることが可能になったわけです。

藍染め

「本建て」による藍染めは何度も何度も根気よく色を重ねることで、色が徐々に濃くなっていきますが、「化学建て」による藍染めは、2・3回程度重ねるだけで濃い色を出すことができます。

これは「本建て」による藍染めは藍分(ランブン)が3~4%しかないためです。しかし「化学建て」による藍染めの場合、この色味を思い通りに調整することが出来ます。

インド藍

だって化学だから。手間をかけず、過剰な管理をすること無くささっと決まった通りの分量を調合すれば、まるで魔法のように思った通りの色を出すことが出来ます。だから誰が染めても簡単に染めることが出来ます。もちろん子供でもです。

しかし「本建て」ではそうはいきません。建てた後の管理は非常に手間とコストがかかります。また微生物の働きによって、その日の微生物の気分によって色味は大きく左右されます。天候や気温の変化を受け易いのです。