【藍建て】「化学建て」とは

化学建てとは
ここでは「化学建て」という藍建ての方法について話します。
「醗酵建て」の解説の際にもいいましたが、伝統的な藍建てである「本建て」に必要なのは「すくも」と「灰汁(あく)」。
対して「化学建て」とは、苛性ソーダ、石灰、ハイドロサルファイト、亜鉛末、ブドウ糖、水飴などの還元剤を使った建て方です。
よく世間で誤解されている、藍染めで色移りが起きるのはここでいう還元剤を使う為に起きます。
また、色落ちも激しく、色合いも濃く、伝統的な「本建て」と比べて青みがありません。「本建て」の藍染めは色移りもなく(色移りしてもすぐにこすればとれます)、匂いもありませんが、「化学建て」の藍染めは、染め液も染めた物も匂いがきつく藍染め特有の匂いと勘違いされている傾向にあります。
「化学的」にみた藍染
化学的検知によれば灰汁(あく)で醗酵させる「本建て」の藍建ても、化学薬品を使った藍建ても「醗酵建て」と同じとあります。
化学的に分析すれば、染め液は強アルカリ性ですので苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)により強アルカリ性の溶液をつくり出すことが出来ます。
つまり苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)は灰汁(あく)のかわりだと考えます。
さらに化学的に分析すれば、染め液は無酸素状態ですので、ハイドロサルファイトなどの還元剤を使用すれば染め液を無酸素状態にすることが出来ます。
また化学的に分析すれば「本建て」もここでお話した「化学建て」も「割り建て」も「すまし建て」も「醗酵建て」も「天然灰汁醗酵建て」も「ブドウ糖建て」も全て同じです。
ですから化学を元に藍建てを考えるとどんな建て方をしようが、全て同じだということになりますが、実際はインディゴを利用した「藍染」という部分が共通するだけで、藍本来のもつ性質や本質、意味を損ないますから全く別の物になります。
見た目や味が同じでも、添加物がたくさんの食べ物Aと、自然素材のみを使用した食べ物Bではその意味や本質や性質が違ってくるとお話すればわかるかと思います。
例え原料が天然の蒅(すくも)であろうが、自然な醗酵の工程で出来た藍染と、化学的な還元作用に頼った藍染は似て非なる物です。
「化学建て」と「醗酵建て」の藍染
醗酵とは人体に取って有益であるか否かでそれが腐敗であるか判断されます。
「本建て」の醗酵による藍染は人体に取って有益に働きますが、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)やハイドロサルファイトなどを使った「化学的」な還元による藍染は人体にとって有益に働くとはいえないということは容易に想像できることだと思います。
ふたつは、同じ強アルカリ性といえども、同じpH(ペーハー)を水溶液があらわしていようと、面白いことに灰汁(あく)の力で醗酵させ建てられた染め液は、皮膚をそれほど痛めませんが、苛性ソーダを使った染め液に手をつけると皮膚がぼろぼろになります。
化学的には同じアルカリ性を示していようが、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)は、劇薬ですから。
そんな、藍本来の性質や本質、意味の話しはまたの機会にお話します。